だしのこと

私と、家族と、だし。

私の子どもは、舌が敏感だと思う。離乳食からすべて、「昆布だし」→「一番だし」へと段階を経て作った料理で育てたことや、自宅がある鎌倉は、季節ごとに旬をむかえる地野菜が豊富な土地柄ということ、また、料理教室で使うさまざまな食材を食べていることも、彼女の舌を鍛えたのだと思う。
4歳ながら、例えば煮干しだしを使った時は敏感に感じ取るし、ユリ根や山菜など、ツウ好みの食材もよく知っている。味が濃すぎると分かりやすく食べないので、たまにこちらがプレッシャーを感じることもあるけれど・・・。
と、言っても子どものごはんであれ基本的には大人と同じ。だしをきちんと取っていれば余計な味付けは要らないので、味を薄めにして食べやすい形にすればいいし、子ども用に別のものを作らなくてもいいという考えで、離乳食を作ってきた。

料理を仕事とし、さまざまなジャンルの料理を数え切れず作っている中でも、「和食」はいつも私の中心にある。中でも特に広義な意味での「だし」の世界をより深めて、もっとみんなに知ってほしいと思うようになったのは、子どもの存在が大きい。
仕事ではなく、家族のために毎日ごはんを作る中、体にやさしいものを食べてもらいたいのはもちろん、食材が本来持つ繊細な旨味や、旬の食材の新鮮な味わいを舌で感じて、楽しめる人になってほしい。そして、子どもを育てるたくさんのお母さんたちにも、そんな食生活を気負わずにに始めてほしいな、と思っている。

こうして改めて「だし」と向き合うと、その旨みや、季節の食材との組み合わせの世界は、いよいよ奥深く、おもしろい。