だしのこと

かつお節のこと

まずは、かつお節。

多くの人が「だし汁」と聞いてまず思い浮かべるのは、「かつおだし」かもしれない。かつお節は一般家庭にとても馴染みのあるだしで、スーパーでも手頃な価格で手に入るのが魅力。顆粒だしも多く出回る中、「だし=かつおだし」という家庭も多いだろう。
言うまでもなく、かつお節は「魚のだし」。たんぱく質が多く、魚特有の香りが強いため、あっさりとした和食との相性はバツグンだ。しかし一方、料理の世界では、かつおだしをそれだけで使うのは、和食、それもめんつゆなど一部の料理だけに限られるということも覚えておきたい。それだけ、主張が強いだしでもあるのだ。

かつお節のきほん。

かつお節はざっくり言うと、いわゆる刺身用のサクになる部分を全て使って作られる。製造の大きな流れは、原料となるかつおをおろし、余分な部分を掃除してから煮る「煮熟(しゃじゅく)」、煮えたかつおを冷やし、身を引き締める「放冷(ほうれい)」、さらに骨抜きなどの作業を行い、燻して水分を蒸発させる「焙乾(ばいかん)」、焙乾したかつおを寝かせ、さらに身の水分を外へ放出させる「あん薫(くん)」、カビ付け前の「削り・整形」、そして仕上げの「日乾(ひぼし)」「カビ付け」という工程を経る。
特に「焙乾」「あん薫」の工程は、かつお節作りの要ともなる工程。これをしっかりすることで、かつおの内側にある水分がしっかりと飛び、旨味がたっぷり凝縮された上質なかつお節が出来上がる。職人さんの技術と時間が、たっぷりかかっているのだ。

また、かつお節はその工程や削り方、部位によって、いくつかの種類に分類される。同じかつお節でも、ごく基本的な種類を知っていると使い方の幅がぐっと広がると思うので、少しご紹介。

荒節

「カビ付け」をする前のかつお節のこと。よく、スーパーで見かける「花かつお」は、この荒節を薄く削ったものを言う。カビ付けをしたものより旨味には欠けるが、逆に透明感のあるすっきりとした味わいが楽しめるのと、何より手軽に求めやすいという特長がある。昆布と合わせて「一番だし」を取る場合や、料理のあしらい用にする場合は、荒節が重宝する。

本枯れ節

荒節に、最大6回ほどカビ付けを行い、より旨味を凝縮させたかつお節。カビの効果で熟成が進むため、複雑で深い旨味や、かつお節ならではの高い香りが楽しめる。本枯れ節でだしを取ると、花かつおより少々濁るけれど、それはおいしさのもとになるたんぱく質が多く含まれている証拠。たっぷりと旨味が残るため、二番だしを取って、煮物や野菜の下味に使うのもおすすめ。
また、かつお節は、「厚削り」「薄削り」のタイプによっても使い方を変えてみるといい。薄いものは短時間でだしが取れて手軽なことから、和食全般に使いやすい。厚いものは、特に強いかつおの香りが欲しい料理に向いている。めんつゆのかえしなど、かつおの風味を楽しむものは、ぜひ上質なかつお節を使いたい。

選び方

まず、新鮮なものを選ぶことが一番。時間がたてばたつほど酸化し、味が落ちてしまうので、何より鮮度に注目を。削り節の場合は製造年月日が新しいのはもちろん、色がくすんだり、黄ばんだりしていないものがおすすめ。新鮮な刺身を思わせる、ほんのりピンク色がかったものがベスト。自分で削る本節の場合は、表面にキメ細やかなカビがまんべんなく付いているものが良質。目が粗かったり、でこぼこしているものは脂肪が多く、余計なエグ味が立ってしまうことがある。

保存方法

もし今、かつお節を常温で保存しているとしたら、すぐに冷凍で保存してほしい!特に削ったものを保存する場合は、必ず冷凍。かつお節は動物性のたんぱく質なので、酸素に触れたそばから「酸化」してしまうのだ。開封したら使うごとに袋の空気を抜いて、口をしっかり閉じて冷凍庫へ。本節の場合はぜひ使うごとに使うぶんだけを削り、残りは風通しの良い場所で保存を。

かつおだし、合わせだしの取り方。

かつおと昆布の一番だし

この後“4:昆布のこと”でも詳しく触れるが、「だし汁」として一番万能に使いやすいのは、この合わせだし。動物性だしならではのパンチのある旨味と、植物性だしの上品な味わいのバランスがとても良く、肉類、魚介類、野菜など、食材ごとの旨さを引き出してくれる。和食全般に使える、基本のだしとしてぜひ覚えたい。

  1. かつおと昆布の分量は「水一ℓに対して昆布15g、けずり節20g」。昆布は水に30分以上、できれば一晩漬けておく。
  2. 火にかけて60度をキープし、昆布の味が出たら引き上げる。
  3. 温度を85度まで上げ、かつお節を入れる。同じ温度をキープし、さわらずにアクのみ静かに取りながら1〜2分置く。
  4. ふきんを敷いたざるで漉す。漉す時は、ギュッと絞らないこと。自然の力で抽出する分でOK。

かつおだし

かつおだしの取り方は実に簡単。
いくつかのポイントを押さえると、いつものかつおだしがもっと香りよく、上品な仕上がりになるのでぜひお試しを。

  1. かつお節の分量は、「水一ℓに対してけずり節40g」。上等なものなら少量でも美味しいだしが取れるので、お好みで調整を。
  2. お湯が85度になったらかつお節を入れる。同じ温度をキープし、さわらずにアクのみ静かに取りながら1〜2分置く。
  3. ふきんを敷いたざるで漉す。漉す時は、ギュッと絞らないこと。自然の力で抽出する分でOK。

かつおと昆布を掛け合わせた一番だしは、それぞれ単体のだしよりも、何と8倍の旨味があるそうだ。それでいてどんな食材との相性も良いなんて、一番だしを取らない手はないな、と思う。