日記

叔父から教わった金沢の押し寿司

2015年10月27日 小竹貴子

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私が金沢を離れ東京に住むようになって、もう20年以上。あのとき食べた味はいまでも鮮明に覚えています。

春と秋にあるお祭りの季節。父のお里である六斗広見にある本家から我が家に届く”押しずし”がとても好きでした。石川県では、祭りのときに押し寿司を作る習慣があり、塩サバなどの魚を使い、紺ノリ(海藻のエゴノリを紺色に染めたもの)、桜エビをのせ、薄い板で区切りながら押し寿司用の木板に敷き詰めていくのが一般的。ただそれぞれの家によって、具材はいろいろ違っています。小竹家の押し寿司は、甘辛く煮た具材がたっぷりのったもの。食べ始めると、あとひとつ、あとひとつと手が伸びるのです。

少し前になりますが金沢に帰省したとき、本家の叔父に無理をいってお願いし、実際に押し寿司の作り方を教えてもらいました。まずは具づくり。ゆで筍、焼きかまぼこ、かんぴょう、干し椎茸を小さく刻み、干し椎茸の戻し汁と砂糖と醤油で甘辛く煮る。ちょっと甘いかなと思うくらいがちょうど。そして具を冷ましている間にすし飯をつくります。
木板にうす板をのせて、具、すし飯、海苔の順にのせる。それを二度繰り返し重ねる。そして重石をのせて一晩。とにかく手間ひまかけてつくられているというのは、ハレの料理、お祭りのお料理ですね。

そして料理を教わっているとき、父がやった包丁の研ぎ方が足りないやら、亡くなったおばあちゃんのあのおかずがおいしかったなぁとか、70歳になる父と80歳になる叔父が楽しそうに話していました。普段みることのない茶目っ気あふれるふたりのおじいちゃん。失礼と思いつつ少し笑ってしまいました。

ようやくできた押し寿司。口にいれた瞬間、あの味だ!と懐かしく、瞬時に子どものころの自分に戻ったような。教えてもらって本当によかった。

次金沢に帰ったときには、何を教えてもらおうかな。そんなことを考えながら、冬の帰省が待ち遠しくなっています。

takako kotake