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kaki

牡蠣

ぐつぐつと煮込む鍋、殻ごと焼かれたもの、フライといったように楽しみ方は無限大、冬のご馳走のひとつである牡蠣。

 

その旬は冬と思われることが多いが、それはいわゆる真牡蠣のシーズンであり、牡蠣の旬を決めるのは実は産卵期によって決められている。
日本で食べられている牡蠣は、大きく分けると真牡蠣と岩牡蠣にわけられる。
真牡蠣は5月頃に産卵期を迎えるので、そこに向けて栄養を溜め込んでいく1月~3月くらいが旬となる。広島、宮城、三重、北海道が主な産地。
真牡蠣は養殖が殆どで、殻が丸や細長い形をしており、濃厚な味わいである。加熱用と滅菌処理された生食用に分けてよく売られている。

 

岩牡蠣は天然物で、産卵量が真牡蠣に比べると少なく、回数を分け少しずつ産卵するので7月~9月の産卵期である間はずっと栄養を蓄え続けている。そのため、真牡蠣とは違って産卵期が旬となる。秋田、石川、千葉が主な産地。岩牡蠣は海の深いところで育ち殻がゴツゴツとして大きく、クリーミーな味わいが特徴である。海女さんが採ってくるということで値段は少し高め。自ら殻を開けて生食で食べるのがおすすめだ。海水温が上がってくると産卵期に入るので、海水温が年間を通して低い北海道は産卵しない牡蠣が多く、例外的に1年中楽しめる。

 

ということで、冬は真牡蠣の季節。
生食用と加熱用は、生食用の方が美味しいということではなく食べ方で選ぶと良い。殻付きで売られている場合は殻の下部の膨らみがぷっくりとしているもの、持って重みのあるものを選ぶとよい。
生食も加熱も、ひだの部分に汚れが溜まりやすいので、旨味が逃げないよう塩水で優しく洗い(もしくは大根おろしで)、しっかりと水気を拭き取る。この下処理が味を大きく分けるのでぜひ丁寧にしてほしい。
加熱する場合は、長時間加熱しすぎないことが一番のポイント。牡蠣のとろりとした食感も美味しさのひとつなので、加熱しすぎて身がやせない程度に火入れをする。揚げる場合は180度で2分程度で取り出し、余熱で火を入れる。ソテーは強めの火で中から水分が出てこないうちに仕上げる。煮る場合はグツグツしている中でさっと煮て取り出すか、煮立つ手前の煮汁の中で少し長めに柔らかく火を入れ、煮汁にも牡蠣の旨味をじんわり移すという手法で。牡蠣がぷっくりと膨れてきたらそれが火が通った合図、そこを見逃さないように。

 

牡蠣は「海のミルク」と呼ばれるくらい栄養値が高い。そしてグリコーゲンと呼ばれる旨味が含まれている。
グリコーゲンは単独で摂るより他の食材と合わせると、その旨味をより強く感じるようになる。牡蠣は組み合わせる食材によって旨味の広がりが何倍にも変わってくる。

 

私がいま一番気に入っている牡蠣の楽しみ方は、昆布と合わせる、調理としてもとても簡単な松前焼き。昆布をさっと酒に浸し、下処理した牡蠣をのせて牡蠣にも塩と酒を少々ふり、魚焼きグリルか200度に温めたオーブンで牡蠣がぷっくりとふくらんでくる程度に焼くだけだ。
口の中で昆布の香りと旨味が牡蠣とあわさって、牡蠣そのものの美味しさをシンプルに高めてくれているような一皿。 出汁をひいた後の昆布でも作れるので、ぜひ一度この出来立て美味しさを、楽しんでいただきたいと思う。