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我が家は竹林に面した立地となっている。

地元でも筍が市場に出てきて、掘りたての筍は皮がしっとりとしていて、産毛がまるでビロードのようにびっしりと生えている。

 

手に入れてからは時間勝負。

すぐさま外側3枚くらいを剥いて穂先を切り、切り込みを縦に入れ、塩だけを入れた湯の中で茹で始める。

掘りたてのものならば、アクもほぼ出始めていないこともあり糠は入れずに、大きなものでも40分ほど煮るともう根元まで柔らかくなっており、そのまま冷めるまで鍋の中に入れておく。

そこまでが筍を手に入れたら大急ぎでしなければならない下処理だ。

新鮮な筍を茹でた鍋からは、蒸したとうもろこしのようなこくのある甘い香りが漂ってくる。

筍ととうもろこしは同じイネ科の植物だからだそう。面白いなぁ。

毎年この香りを嗅ぐたびに、あぁ筍の季節が来たなぁと感じさせられるのだ。

 

そして、これからしばらくは筍料理が我が家の食卓に並ぶ日々が続く。

掘りたての筍の場合は茹でて冷ましたものを刺身のようにまずは味わいたい。

茹でた時の香りのように、どことなくとうもろこしのような風味が口の中にも広がってくる。

まだ、2月の頃の完全に土の中で眠っているものを早採りした筍の刺身は、それはそれはものすごく美味だそう。

いつかぜひ味わいたい憧れの初春の味わいだ。

 

刺身を味わったあとの筍は穂先、中央部、根元と使い分けて料理をすると、より美味しく食べられる。

もうひとつ、筍の旬の期間の走りか名残りかで硬さがかなり変わってくるので、それに合わせて火の入れ方や切り方を変えてやれば良い。

 

穂先は柔らかく甘みも強いので、縦に切って和え物やお吸い物など味をつけ過ぎず、軽い加熱料理に。

中央部は程よい柔らかさと甘さがあって、どのような料理にも使いやすい。天ぷらや薄味の煮物、炊き込みごはんにもいいだろう。

根元部分は一番硬いので、繊維を断ち切るように輪切りにしたり、マッチ棒状や、角切りに切って炒め物やしっかり味を煮含める煮物などに向いている。

 

定番の炊き込みご飯は、一番だしの中に切った筍を入れて、だしに筍の風味が出てくるまで煮含めてから、薄口醤油と味醂で薄味に煮含めてそのまま冷ます。その煮含めた調味液と足りない分は合わせだしで調整して一緒に炊き込むと、米の中まで筍の風味が味わえる炊き込みごはんに。

あとは、木の芽の香りを添えれば、4月の食卓の主役となる。

シンプルながらも味わい深い、何度も作りたくなる定番のごはんだ。

 

茹でた筍を保存をする場合は、茹で汁か真水を筍にひたひたの高さまで入れ、冷蔵庫で3~4日を目安に。

それ以上保存したい場合は、切って鍋で乾煎りして余分な水分を飛ばしてから、酒、味醂、濃口醤油をお好みの濃さで加えて水分が無くなるまで煮詰めると、筍の佃煮の出来上がり。

木の芽や、削り節、赤唐辛子などで好みの香り付けをしても楽しめる。

 

筍は文字の中にまさに旬の文字が入り込んでいる素材。

食用部分の若芽が伸び始めて、旬とは厳密に言うと10日ほどの期間を指すが、10日もすると大人の竹になってしまうほど成長が早いことから名付けられたとか。

 

我が家の裏の竹林も、採られなかった筍が日に日に茶色い皮を縦に伸ばし、その皮を破って青竹が出てきて、そのままぐんぐんとあっという間に大人の竹に成長していくのが分かる。

その様子を見ていると、まさに筍の生命力をダイナミックに味あわせてもらっているのだなぁと、ありがたい気持ちになるのだ。