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きゅうり

調べてみて分かった、きゅうりの故郷はインド。

漢字で書くきゅうりの「胡」の文字はシルクロードから来た、という意味があるのだそう。それを知って改めてきゅうりを見ると、親しみのある食材だったのが、ちょっと違ったよそゆきの果実にも思えてくる。

これから最盛期を迎えるきゅうり。

成分のほとんどが水分で栄養的にはあまり期待できないかもしれないが、暑くなる季節の水分補給にはぴったり。

体内温度を下げる作用があるので、秋から冬にかけて食卓にほとんど上らなくなるが、今は必ず糠床に1本は漬かっていて、家族みんなで毎日食べる。真夏にはそのままで娘のおやつにもなる。

身体が自然ときゅうりを欲しているようだ。

料理を仕事にしているのもあり、買い出しに毎日のように出掛ける。

運良く、毎朝農家さんが売っている新鮮な野菜を市場で買い求めることができるのは嬉しい。

市場で売られているきゅうりは、まだ萎んだ花も根元に引っ付いていて、棘が元気で、見るからに果肉が水分でパーンと張っている。

切ると断面からすぐじわじわと果汁が滲み出てきて、元に戻してみると引っ付く。新鮮な証拠だ。

水分の多い、そのまま食べることの多い夏野菜の美味しさには、ことさら鮮度が大事だと思う。

青い香りをいかして調理する。

日々さまざまな料理を作るが、和食ではそれぞれの素材の風味を引き出すことが一番の仕事だと感じている。

私がきゅうりの風味として感じているのは、何と言っても清涼感だ。 あの青い香り、瑞々しさ。

生でかじっても、擦り下ろして和えても、漬物にしても、炒めても、 その香りは強弱あれど、どこまでもどこまでも追いかけてくる。 料理の主役にはなれないかもしれないが、これからの暑い季節には、テーブルのどこかにはいて欲しい存在なのだ。

そのきゅうりの香りを消さないように、調理、調味を心がけて。 アクの強いヘタ周りを切り落として、塩で板ずりすると色が鮮やかになりアクも抜ける。

それをさっと湯通しすれば、さらに品良く仕上がる。

お肉と合わせるなら、茹でたお肉とサラダ感覚で。

魚だったら、刺身でも、焼いたり揚げたりしたものにでも、きゅうりおろしと和えてみる。

夏野菜たっぷりのラタトゥイユ煮込み、さっと炒めるなど、加熱料理もいい。紫蘇や茗荷、新生姜などの夏の薬味との相性も良し。

丸ごと、輪切り、乱切り、千切り、すり下ろし、種を取って・・・など切り方だけでも、いろいろな歯応えと味わいが楽しめる。

結局、一番好みなのはやっぱり糠漬けなのだけれど。

さぁ、夏が終わるまで、新鮮なきゅうりのお世話になる日々が始まる。